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イリヤの空、UFOの夏(シリーズレビュー)


イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
(2001/10)
秋山 瑞人

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考えてみれば当たり前だ、と浅羽は思う。
夏休みが終わると同時に、夏が終わるわけではないのだ。
夏は、あとしばらくは続くのだ。

UFOの夏だった。


 "鬼才"秋山瑞人が放つ、極上のボーイ・ミーツ・ガール。これを越えるライトノベルは未だに現れていない。そんな、伝説級の高評価を受けている当作品ですが、その看板に押し潰されるなんてことはあり得ず、最近巷でよくイリヤの何たらって名を聞くがさてさて果たしてどんなもんかねぇ、とやって来た読者たちの心の琴線を手に持った看板でぶち切れるくらいに弾いてきたことでしょう、とこう書いたら持ち上げすぎでしょうか。

 主人公とヒロインの出会いは夜のプール。夏休み最後の日、プールに飛び込んでやろうという魂胆で学校に忍び込み、そこでヒロインとの運命的な邂逅が果たされるわけですが、この「学校に忍び込む」という行為を単独でやる主人公にまず親近感を覚えてしまいます。「プールに飛び込んでやろう」というのも懐かしさを覚えるような思考であって、うーんあと3年早くこれを読んでたらマネして飛び込んでいたかもしれないなぁと思います。
 こうした、どこか臭い、青春真っ盛りのガキんちょのような感覚はしかし、きっと男性諸君なら一度は持ったことがあるのではないでしょうか。それならばきっと、浅羽特派員に多少なりとも自分の影を見たりすることになるかもしれません。

 ジャンル的にはセカイ系に位置するでしょうか。重要なワードとして幾度も登場するのは『戦争』の二文字で、園原基地なる軍事施設が存在するような、そういった舞台かつ世界観の上で物語が展開されていきます。同情人物はみな個性的で、繰り広げられる会話は非常に楽しいものなのですが、その背後にはどこか一触即発のムードが漂っていて、緊張感のある紙面になっています。穏やかな日常に突如舞い込む非日常の描写。それはさながらステルス爆撃のようで、不意にギョっとさせられてしまう。緩急の付け方が絶妙、と、そういう表現も出来るかな。

 心のどこかで覚えていて、でも今の今まで忘れていたような、そんな学生時代の日常が、目の前でそれが繰り広げられているかのような迫力で以って描かれます。その飛び抜けた文章力は絶賛する以外のことが出来ません。そう、この作品のウリであり武器であるのは、何といってもその文章力に他ならない。どのページを開いてもそこにあるのは芸術的な文章。情景描写が見事で、特に第二巻での学園祭の描写はノスタルジー満点です。ページを捲ればそこには夏があって、学園祭があって、日常の背後に潜む動乱の息遣いが聞こえる。

 物語やキャラクターたちも高水準なのでしょうが、リズミカルで巧みな文章はそれらの魅力を一段階も二段階も引き上げてしまいます。しかし凄いのは、その文章力がキャラクターを潰してしまっていない点。文学レベルの文章でありながら、これはきちんと「キャラクター小説」であるところのライトノベルをやっているのですよ。これぞ鬼才の為せる技、とまたベタ褒めになってしまいますが、いやはやそうするしか仕方がないのだから仕方がない。

 全4巻。まだ読んでないヤツぁ、「おっくれてるぅーーーっ!!!!」だ。
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まとめ【イリヤの空、UFOの夏】

イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)(2001/10)秋山 瑞人商品詳細を見る考えてみれば当たり前だ、と浅
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