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『Missing 神隠しの物語』


Missing 神隠しの物語 (電撃文庫)Missing 神隠しの物語 (電撃文庫)
(2001/07)
甲田 学人

商品詳細を見る


今までもっとも多くの人を殺してきたものは何だと思う?
 爆薬でも毒薬でもない・・・情報だよ

紫苑寺 有子/神様のメモ帳(杉井光)


 10年以上の作品ともなると新装版を手に入れるほうが難しいということで、本作品もブックオフの105円コーナーから調達させていただきました。「暗い感じのライトノベルは無いかな」と思って検索をかけてみたらこの作品が話題に上がっていたのをみたので、105円コーナーで見つけたときは歓喜の涙を流しながら手を伸ばしてしまいましたね(誇大表現あり)。

 「ライトノベルっぽくない」というのが第一の感想でしたが、ただ、本作は10年以上前の作品です。最近の若者であるところの僕が読むのはやはり最近のライトノベルが多いですし、そうなると僕が「ライトノベルっぽい」と思うのは当然最近のライトノベルのような作風のもの、ということになるので、10年前の本作を「ライトノベルっぽくない」、と感じるのはまあ当然といえば当然ではあります。

 ただ、当然ではあるということを踏まえても、やはりこれはライトノベルっぽくない。その理由はほとんど明らかで、まあ言ってしまえば明確なヒロインが出てきていないという点にあるのかなと思います。いわゆる群像劇というスタイルで話が進んでいくため視点も移り変わりますし、ヒロインもはっきりしない。そこがライトノベルっぽくないというか、ライトノベルのテンプレートを逸脱している点だと思います。もちろん、それはライトノベルっぽくなさを助長しているだけであって、決して欠点であるとは思いませんし、本作の世界観を作り上げる上で重要な点だと思います。

 作者の非常に巧みな文章力は、『序章 桜の森の満開の下』の数ページで印象付けられます。人間の『認知』や『意識』などに関連した少し難しいロジックが物語の中で登場しますが、そのあたりも凄く説得力のある文章によって語られます。

 『知る』という行為によって、自覚されること、初めて気が付くことは誰にでもあります。情報というのは麻薬である、思い切ってそう言ってしまっても良いのではないかと僕は思います。今まで見えていなかったものがクリアに見えるようになる、瞬間、自分の中に革命が起こって、もう過去の自分には戻れなくなる。知らなかった頃にはもう戻れない。

 言い換えれば、私たちは『知らない』ことは、知らないし、見えてもいない、いや意識することが出来ない。道端に落ちている石を意識しないのと同じように、認知していないものを意識することは出来ない。そういった人間の特性・性質がうまく昇華されて、物語に組み込まれている。そういった点でやはり説得力があるし、作者の技量というのが垣間見える。少し違う言い方で言えば、相手を言いくるめる能力に長けている、と感じます。ただ、やはり少し説明臭いところはあるのですが。

 『枯』を感じさせるようなどこか哀愁のある世界観も一貫していて美しい。また、心理描写も緊迫感があり、とあるワンシーンで登場人物が恐怖に怯える描写は見もの。読んでいる側も引きずり込まれていくような感覚を覚えます。物語の世界がしっかりと確立されているので、一度引き込まれるとページを捲る手が止まらない。

 まだ1巻しか読んでいないのですが、長く続いたシリーズのようですし、本作がデビュー作ということで巻を追うごとに更に文章もレベルアップしていくでしょうから、続刊の購入も検討しています。この作者が創る世界にまた引きずり込まれたい、そんな風に思える作品でした。
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