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『惡の華』


惡の華(1) (少年マガジンKC)惡の華(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
押見 修造

商品詳細を見る



内容説明
ボードレールを愛する少年、春日高男。ある日、彼は、放課後の教室に落ちていた、大好きな佐伯奈々子の体操着を、思わず盗ってしまう。それを、嫌われ者の少女・仲村佐和に見られていたことが発覚!! 盗んだことをバラされたくない春日に、彼女が求めた“契約”とは‥‥!?



厨二病の究極の形。
『向こう側』を探して身を焦がす青い春。

※ネタバレになる部分もありますのでご注意




思春期。一体どんなことを感じ、どんなことを考えただろうか。
もちろんそれには十人十色の答えがあるだろうが、多くの人が一度は「フツーで居たくない」みたいなことを考えたことがあると思う。これはアイデンティティの確立とも関連した重要な段階で、思春期に誰もが通る道であると言われている。
この『惡の華』は、現在5巻まで刊行されている漫画であるが、この作品の主要キャラクターを見ていくと、やれやれ思春期真っ盛りである。フツーな人間を『クソムシ』と呼んで忌み嫌う仲村佐和。ボードレールの詩集『惡の華』に読み耽り、彼の哲学の理解者は自分だけだとして他人を見下している春日高男。

さて、記事の冒頭で引用した内容説明のように、高男はクラスメイトの佐伯さんの体操着を盗んでしまい、それを佐和に目撃されてしまう。佐和に『変態』の才能を見出された高男と佐和の関係は徐々に奇妙で深いものになっていき、やがて二人はクソムシの蔓延る町を抜け出して『向こう側』へ辿り着こうと決心する。しかしその試みが失敗に終わってしまい、どう足掻いても町を抜け出せない現実を知った高男は、町の中でこの町の『向こう側』を見つけようと奔走する。その『向こう側』を見つける手段というのがまた常軌を逸している。ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが、とにかく狂気染みたフツーでない行動に出るのだ。

私はこの作品を読んでいて、かなり大きく心を動かされた。それは高男の行動が気持ち良いくらいに狂っているからであったり、過去の自分と少し重なっているからでもある気がする。フツーで居たくない。きっと誰もが一度は思ったことがあると思うし、いわゆる厨二病と言われるような行動もしたことがあるんじゃないかと思う。でもやがて現実を見て、型に嵌った生き方に落ち着いていく。きっとそれは一番利口な生き方で、現実的な生き方なのだろう。空気を読んで、社会に順応して……。

でも、そういう人間を佐和は、高男はクソムシと呼ぶ。だって高男はまさに思春期真っ盛りなのだ。高男は思春期の、厨二病のど真ん中にいる。『向こう側』を見つけたところでどうなるでもない。ただの自己満足だ。単なる頭のイカれた馬鹿げた行動だ。でも、そんな言葉は彼の行動を止められない。高男は、意図して馬鹿をやっているのだ。彼は本物の馬鹿になろうとしているのだ。それが、すごく清々しくて、気持ちよくて、羨ましくて、心を揺さぶられる。その先に、『向こう側』にあるのが空虚であったとしても、必死に泥臭く手を伸ばすその姿が羨ましい。

こんなに心を揺さぶられたのは、内容もそうだが画に拠るものも大きいように思う。とにかく表情がリアルで、迫力がある。特に、キャラが感情を露わにするシーンでの表情は素晴らしく、言葉通り、顔で感情を表現している。恥じらい、嫉妬、憤怒、落胆、絶望、憂鬱、快楽、希望。様々な表情が忠実に再現されていて、この画力は凄まじい。

まだ完結していないこの作品。一体どこに着地するのか予想のつかない展開だが、是非追いついて次の展開に想像を巡らせて欲しい。字数は少ない方だと思うので、そんなに時間かけずに読めるかと思います。
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