神さまのいない日曜日Ⅳ
神さまのいない日曜日IV (富士見ファンタジア文庫) (2011/02/19) 入江 君人 商品詳細を見る |
内容(「BOOK」データベースより)
神様は月曜日に世界を作り、日曜日に世界を捨てた。そして最後の奇跡と呼ばれる“墓守”が生まれた。それが、15年前。消えた傷持ちを追い、霧の街へ迷い込んだアイ。人っ子一人、死者一人いない奇妙な街で、アイは雲を突き抜けて鎮座する奇妙な塔に遭遇する。“世界塔”―人々の願いを、叶える場所。アイは、アリスやユリー、ディーらと共に、傷持ちの手がかりを追いながら、世界塔へと足を踏み入れるのだが―?死者を埋められない墓守。妹のために石を積む兄。願いが叶うという塔で“最後の奇跡”墓守アイが願う夢は―。
君のとっての「世界」とはなんだ。
君が抱く「願い」はなんだ。
もし君の世界が満たされず、そこで願いが叶わぬのなら―
「天国」を作ろう。
世界樹。ぱんと咲く。
人が死ななくなり、人が生まれなくなった世界。心臓を貫かれても、死者は蠢くのをやめない。
腐敗していく世界に神さまに遣わした最後の希望、『墓守』。
生者は死者となり、死者は墓守に埋められる。
『神さまの日曜日』の物語の舞台は、そんな荒廃した世界。
墓守の少女である主人公、アイ=アスティンは、「世界を救いたい」という願いを胸に旅を続ける。
僕はこれまでに数多の本を読んできた…わけではないけど、この作品は本当に面白い。今まで読んできた中では最高傑作だ
文章表現がどのページ、どの行を見ても素晴らしく、ライトノベルの域を越えた文学作品と言ってもいいくらいだと思う。儚くて幻想的な、独特の世界観を持つファンタジー作品であるのだけど、取り上げているテーマも奥深い。
だからこそ、読み始めると面白いように引き込まれてしまう。この巻のクライマックスは圧巻だった
微笑ましい描写も多いけど、シリアスな場面に切り替わったときの、紙面から伝わってくる緊張感が凄まじい。キャラクター同士の緊迫したやり取りは、こちらも固唾を呑んでしまう
キャラクターの心理が少し掴みづらいかなと思うところもあるけど、とても魅力的なキャラクターが多いし、挿絵もかわいいので楽しくよめるんじゃないかな。ただ『萌え』はあまりないかもしれないけどね。
さて、「世界を救いたい」と願う主人公のアイだけど、その『世界』とはなんだろうか
世界は広いけど、僕たちが知っている世界の姿はほんの一部でしかない。たとえば、今宇宙のどこかでビッグバンが起きていたとしても僕は気付かないし、影響も受けないだろう。
それぞれの視野がそのまま『世界』になる、言い換えれば、それぞれが自分の『世界』を持っている、ということにもなるんだよね
それは『家族』かもしれないし、『日常』かもしれないし、『恋人』だったりするかもしれない。
「世界を救う」というのは、地球の寿命を延ばすことじゃなく、一人ひとりの『世界』を救うということなんだ。
一字一句はあってないかもしれないけどこんな旨の文章が作中でも登場する
さて、君にとっての『世界』とはなんだろうか。
そしてその君の『世界』は輝いているだろうか。
輝いていないのなら、輝かせればいい。だってその世界は自分のものなのだからね。
ただ、墓守が、革命家が出来るのは導くことだけだ。最後に決めるのは当事者でなくてはならない
この巻では、自分の『世界』の光をなくしてしまった青年が作ろうとした『天国』を巡って物語が展開される
それは希望に溢れた大創造に見えるかもしれないし、単なる現実逃避に映るかもしれない。でも、それがいいことなのか悪いことなのか、それも君が決めればいい。
自分の世界をキラキラさせるためのヒントがこの作品には隠れているような気がする。
未読の方にはぜひ読んで欲しい作品です。今は5巻が待ち遠しくてしょうがないです
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