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暗いところで待ち合わせ


暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)
(2002/04)
乙一

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 最近乙一さんの作品を良く読んでいるのですが、その中でも最も感銘を受けたのがこの作品です。表紙が若干怖いのに加えて乙一さんはよくホラー作家だと言われたりするのでそういう内容かと思いきや、本当に心暖まる内容でした。

 視力を失って部屋の中で引きこもって暮らす女性の家に、殺人犯として追われている男性が立て籠もり、奇妙な共同生活が始まる…というあらすじなのですが、この目の見えない女性の心情描写というのが本当に見事で、ページを捲っていて涙腺が緩んでしまったことも度々ありました。
 二人の視点から交互に物語が語られていくのですが、たとえば男性の視点で3~8まで話が進んだとしたら、女性の視点で6~12まで話が進む。次は男性の視点で10~15まで話が進む。このとき、4~6の部分や10~12の部分というのは二人の視点から重複して語られていることになるわけですが、この構成が非常にうまい。男性サイドのときには意図がよく分からなかった女性の行動が、女性サイドのときに明確に明かされる。
この返し縫いのような進み方が、物語を丁寧かつ深みのあるものにしていて、素晴らしいです。

ちゃんとサスペンスらしいオチもつくので単なる恋愛モノに落ち着かないところがまた良い。オススメです。

乙一や有川浩ってライトノベルだと言われるけどライトノベルカテゴリに入れていいものか…。
ライトノベルってなんなんでしょうかね。僕もこう、楽しみに考えていたりします。
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イリヤの空、UFOの夏(シリーズレビュー)


イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
(2001/10)
秋山 瑞人

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考えてみれば当たり前だ、と浅羽は思う。
夏休みが終わると同時に、夏が終わるわけではないのだ。
夏は、あとしばらくは続くのだ。

UFOの夏だった。


 "鬼才"秋山瑞人が放つ、極上のボーイ・ミーツ・ガール。これを越えるライトノベルは未だに現れていない。そんな、伝説級の高評価を受けている当作品ですが、その看板に押し潰されるなんてことはあり得ず、最近巷でよくイリヤの何たらって名を聞くがさてさて果たしてどんなもんかねぇ、とやって来た読者たちの心の琴線を手に持った看板でぶち切れるくらいに弾いてきたことでしょう、とこう書いたら持ち上げすぎでしょうか。

 主人公とヒロインの出会いは夜のプール。夏休み最後の日、プールに飛び込んでやろうという魂胆で学校に忍び込み、そこでヒロインとの運命的な邂逅が果たされるわけですが、この「学校に忍び込む」という行為を単独でやる主人公にまず親近感を覚えてしまいます。「プールに飛び込んでやろう」というのも懐かしさを覚えるような思考であって、うーんあと3年早くこれを読んでたらマネして飛び込んでいたかもしれないなぁと思います。
 こうした、どこか臭い、青春真っ盛りのガキんちょのような感覚はしかし、きっと男性諸君なら一度は持ったことがあるのではないでしょうか。それならばきっと、浅羽特派員に多少なりとも自分の影を見たりすることになるかもしれません。

 ジャンル的にはセカイ系に位置するでしょうか。重要なワードとして幾度も登場するのは『戦争』の二文字で、園原基地なる軍事施設が存在するような、そういった舞台かつ世界観の上で物語が展開されていきます。同情人物はみな個性的で、繰り広げられる会話は非常に楽しいものなのですが、その背後にはどこか一触即発のムードが漂っていて、緊張感のある紙面になっています。穏やかな日常に突如舞い込む非日常の描写。それはさながらステルス爆撃のようで、不意にギョっとさせられてしまう。緩急の付け方が絶妙、と、そういう表現も出来るかな。

 心のどこかで覚えていて、でも今の今まで忘れていたような、そんな学生時代の日常が、目の前でそれが繰り広げられているかのような迫力で以って描かれます。その飛び抜けた文章力は絶賛する以外のことが出来ません。そう、この作品のウリであり武器であるのは、何といってもその文章力に他ならない。どのページを開いてもそこにあるのは芸術的な文章。情景描写が見事で、特に第二巻での学園祭の描写はノスタルジー満点です。ページを捲ればそこには夏があって、学園祭があって、日常の背後に潜む動乱の息遣いが聞こえる。

 物語やキャラクターたちも高水準なのでしょうが、リズミカルで巧みな文章はそれらの魅力を一段階も二段階も引き上げてしまいます。しかし凄いのは、その文章力がキャラクターを潰してしまっていない点。文学レベルの文章でありながら、これはきちんと「キャラクター小説」であるところのライトノベルをやっているのですよ。これぞ鬼才の為せる技、とまたベタ褒めになってしまいますが、いやはやそうするしか仕方がないのだから仕方がない。

 全4巻。まだ読んでないヤツぁ、「おっくれてるぅーーーっ!!!!」だ。

『さよならピアノソナタ』(シリーズ・レビュー)


さよならピアノソナタ (電撃文庫)さよならピアノソナタ (電撃文庫)
(2007/11)
杉井 光

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あぁ私のかけらよ力強くはばたいてゆけ
振り返らないで広い海を越えて
たくさんの光がいつの日もありますように
あなたがいるからこの命は永遠に続いていく

Pieces/L'Arc~en~Ciel



 『神様のメモ帳』でお馴染杉井光さんの作品。み……いや、こちらが代表作なのかな?題名からも分かるとおり、音楽の要素をふんだんに取り入れた作品です。『民俗音楽研究部』という、まあ軽音楽部的な部活で、男1人と女の子3人がバンドを組むというものですが、まぁこの人数構成からも分かるように、女の子3人との恋の駆け引きなんかが描かれたりします。男が女の子3人に目移りする…というよりは、女の子3人が男を巡って水面下で火花を散らしたり…という展開が多いかな。ラブコメディという分野に位置づけられるのではないかと思います。

 非常に個性的な部分としては、やはり最初に述べた、音楽の要素というのが第一にあります。作者の音楽の知識がかなり豊富のようで、頻繁に文面にクラシックのピアノ曲やバイオリン曲の名前が登場します。あとビートルズの曲も。そして、これらの楽曲それ自体がストーリーにおいて非常に重要な意味を持っている、ストーリーを端的に表している、といった使われ方でした。これは、そういった音楽に精通している読者からしたら最高の演出なのでしょうが、僕のようなそっち方面に疎い読者からすると少し置いていかれてしまうような感じもしました。まあこのライトノベルが、これまで聞かなかったクラシックに手を出すきっかけになったりはしましたがね。

 ただ、やはりこうした実際のミュージシャンや曲を作中に登場させることで得られる説得力というものは大きかったです。キャラクターたちが高いレベルで勝負しているというのが伝わってくるからね。そういった意味では、曲名にピンと来ない読者にも効果はあるのかもしれません。

 そうした、非常に高い水準でバンドをやっているということを示すことで魅せられるようになるのが、緊迫感のある演奏シーン。ドラムの疾走、ベースの鼓動、ギターの羽ばたき。巧みな比喩表現によって彩られる演奏は、まさに『手に汗握る』という言葉が相応しい。特に、第4巻の"片翼飛行"の描写は圧巻で、この作品に出会えてよかった、そう思える数ページでした。

 また、音楽というものに関しても作中で言及されます。ここで重要になるのは神楽坂響子というキャラクターで、彼女を無視してこの作品を語ることは出来ないように思います。世界を変えられるのは歌だけ。自称"革命家"の彼女のその言葉は、杉井光さんの胸の内を代弁しているかのような痛切さを持っている。4巻のあとがきでL'Arc~en~Cielの『Pieces』について触れられますが、人々の心に革命を起こすのは言葉であって、そして言葉というのは歌に乗ることでのみ人々の心に届く。
 唯一の革命家だったジョン・レノン。自称"革命家"の神楽坂響子は、彼女だけのポールを探す。この辺りの彼女の心境の動きも非常に読み応えがあるというか、一人の少女の恋というには濃すぎて熱すぎて儚すぎる、そんな物語がありました。この神楽坂響子というキャラクターは杉井光さんにとっても特別なキャラクターに違いないと思います。と、こうまで絶賛してしまうくらいに、神楽坂響子というキャラクターはドラマチックで魅力的でした。いやあ、実に素晴らしいキャラクターです。

 と、神楽坂センパイを賞賛する一方で、苦言を呈したいのは主人公の鈍さ。鈍い、鈍すぎる。まあライトノベルの主人公というのは大抵そんなものなんだけど…。決して読んでいて苛立ったりということはなかったけど、流石に不自然さを感じてしまったのでそこは勿体ないなあという印象でした。
 あとは、音楽の情報を出すのは効果的なのだけれど、ちょっと数が多かったような気もする。さよならピアノソナタなのにどっちかというとビートルズが前面に出ていた感じもしたかな。

 とまぁ、そういった点もいくつかあるのですが、やはり演奏シーンが素晴らしいのです。多彩で繊細な言葉によって目の前に浮かび上がってくる光景、聞こえてくる音。杉井光さんの比喩表現というのは、表面的に鋭く切れ込んでくるような類のものとはまた違って、少し遠回りながらも根が下りていて、じんわりと染み渡っていく、そんな大らかな比喩だと思います。

 と、そんな感じで、最初から最後まで非常に優しく、しかしグツグツ煮えたぎる熱いものが篭った、とても情熱的な物語でした。音楽の知識がどうこう言いましたが、決して音楽通でなくても楽しめると思いますので、是非読んでみて欲しいなと思います。もしかしたら貴方の中にもレボリューションが起こるかもしれません。

『Missing 神隠しの物語』


Missing 神隠しの物語 (電撃文庫)Missing 神隠しの物語 (電撃文庫)
(2001/07)
甲田 学人

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今までもっとも多くの人を殺してきたものは何だと思う?
 爆薬でも毒薬でもない・・・情報だよ

紫苑寺 有子/神様のメモ帳(杉井光)


 10年以上の作品ともなると新装版を手に入れるほうが難しいということで、本作品もブックオフの105円コーナーから調達させていただきました。「暗い感じのライトノベルは無いかな」と思って検索をかけてみたらこの作品が話題に上がっていたのをみたので、105円コーナーで見つけたときは歓喜の涙を流しながら手を伸ばしてしまいましたね(誇大表現あり)。

 「ライトノベルっぽくない」というのが第一の感想でしたが、ただ、本作は10年以上前の作品です。最近の若者であるところの僕が読むのはやはり最近のライトノベルが多いですし、そうなると僕が「ライトノベルっぽい」と思うのは当然最近のライトノベルのような作風のもの、ということになるので、10年前の本作を「ライトノベルっぽくない」、と感じるのはまあ当然といえば当然ではあります。

 ただ、当然ではあるということを踏まえても、やはりこれはライトノベルっぽくない。その理由はほとんど明らかで、まあ言ってしまえば明確なヒロインが出てきていないという点にあるのかなと思います。いわゆる群像劇というスタイルで話が進んでいくため視点も移り変わりますし、ヒロインもはっきりしない。そこがライトノベルっぽくないというか、ライトノベルのテンプレートを逸脱している点だと思います。もちろん、それはライトノベルっぽくなさを助長しているだけであって、決して欠点であるとは思いませんし、本作の世界観を作り上げる上で重要な点だと思います。

 作者の非常に巧みな文章力は、『序章 桜の森の満開の下』の数ページで印象付けられます。人間の『認知』や『意識』などに関連した少し難しいロジックが物語の中で登場しますが、そのあたりも凄く説得力のある文章によって語られます。

 『知る』という行為によって、自覚されること、初めて気が付くことは誰にでもあります。情報というのは麻薬である、思い切ってそう言ってしまっても良いのではないかと僕は思います。今まで見えていなかったものがクリアに見えるようになる、瞬間、自分の中に革命が起こって、もう過去の自分には戻れなくなる。知らなかった頃にはもう戻れない。

 言い換えれば、私たちは『知らない』ことは、知らないし、見えてもいない、いや意識することが出来ない。道端に落ちている石を意識しないのと同じように、認知していないものを意識することは出来ない。そういった人間の特性・性質がうまく昇華されて、物語に組み込まれている。そういった点でやはり説得力があるし、作者の技量というのが垣間見える。少し違う言い方で言えば、相手を言いくるめる能力に長けている、と感じます。ただ、やはり少し説明臭いところはあるのですが。

 『枯』を感じさせるようなどこか哀愁のある世界観も一貫していて美しい。また、心理描写も緊迫感があり、とあるワンシーンで登場人物が恐怖に怯える描写は見もの。読んでいる側も引きずり込まれていくような感覚を覚えます。物語の世界がしっかりと確立されているので、一度引き込まれるとページを捲る手が止まらない。

 まだ1巻しか読んでいないのですが、長く続いたシリーズのようですし、本作がデビュー作ということで巻を追うごとに更に文章もレベルアップしていくでしょうから、続刊の購入も検討しています。この作者が創る世界にまた引きずり込まれたい、そんな風に思える作品でした。

神さまのいない日曜日Ⅶ

このドアはひょっとして ひょっとしたらひょっとして
何の喩えでも象徴でもメッセージでも無くて
開いたって昨日と同じ 生活が待っていたりして

「Door」/Mr.children



神さまのいない日曜日VII (富士見ファンタジア文庫)神さまのいない日曜日VII (富士見ファンタジア文庫)
(2012/04/20)
入江 君人

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内容(「BOOK」データベースより)
アイやディーたちの活躍により封印都市は復活を果たす。けれど、アリスの断罪に失敗した魔女旅団―マダムは暴走、鉄虫に襲われた封印都市は、戦火に包まれる。アリスは、封印都市を救う為、“我が侭”になったマダムに対抗する為に、その力を解放する。「―俺が止める」その異能で。すべてを燃やし尽くす。一方、アリスと共に戦うと決めたアイは、一度は手放した墓守のショベルを、再びその手にとる。大切なものを、誰かを。もう一度、守りたいから。「アリスさん―私と一緒に、生きてください」世界の終わりを守る少女と少年の、果てない夢の行方は!?―。




というわけで、神さまのいない日曜日Ⅶを読了しました。
このシリーズは、僕が新刊が出るたびに買っている数少ないライトノベルで(それ以外は完結済みだったりするものを良く買います)、とても大好きで応援している作品です。

さて、この巻、というより作品は『夢』というものを扱った作品だと思います。
舞台は人が死ななくなった世界。人は死んでも死者として存在し続け、墓守という存在がそれを埋めることでしか命が終わらない。
本作の主人公、墓守のアイ・アスティンには「世界を救う」という夢があります。
まず、これまでの既刊の内容では、その「世界を救う」の『世界』ってどこなのさ、ということを扱ったりしていました。『救う』とはどういうことなのか、ということも。

そして今巻では更に踏み込んで、「そもそも、それは本当に夢なのか?」ということを問い質していきます。

君には夢があるか。
その夢を叶えるために何をしているか。
その夢を叶えるためだけの自分になっていないか。
その夢が叶ったら、君はどうなるのか。

夢だったものがいつか足枷になり、それを叶えるためだけに何かを我慢し、どっちが先でどっちが後かぐちゃぐちゃになり、それでも時は過ぎていく。焦る気持ちと裏腹に怠惰な毎日が過ぎて、自己嫌悪は止まらない、気持ちを入れ替えたはずなのに、一歩も前に進まずまた昨日と同じ一日。

記事の冒頭で、Mr.Childrenの『Door』という曲の歌詞を引用しました。
自分が今追い求めているもの・夢・目標。それは本当に、今の自分が心から求めているものなのか?惰性で追い続けている夢は、呪いのようなものではないか。誰もに通じる、強烈なテーマだと思います。

アイは、そんな夢多き等身大の主人公。そんな彼女も、この巻で一つの答えを導き出します。
そしてそこから話は大きく展開し、今巻でひとまず大きな流れが終わります。

恋・夢・自我、アイは色んな問題にぶつかって、でもそれを泥臭くも乗り越えていく。
思春期のあなたに、思春期を終えたあなたに、これから思春期のあなたに。たくさんの人にオススメの作品です。

テーマもさることながら、多彩な比喩によって織り成される情景描写も見もの。これは序盤の巻から健在でした。僕がこの作品を支持するのもこの情景描写に魅入られてしまったからだったりします。
まるで自由詩。まぁ実際改行多いしね。笑
人が死なない世界、その喜劇なのか悲劇なのかわからない不思議な世界観をうまく作り上げていると思います。

挿絵もかわいいので萌え萌え出来ると思います。ディーかわいいよディー。
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